すうこつ

  年をとると物忘れがひどくなるのに、昔のことはよく覚えています。
  小学生のときの洪水の話がうけたので、さらに小学生のときの話です。今の子どもたちも基地を作って遊んでいますが、昔も同じです。僕の住んでいたところでは、『すうこつ』と呼んでいました。隠れ家というような意味で使っていました。その『すうこつ』が、ときにはイチジクの木の下に、ときにはススキやアシの茂る湿地帯にと作られていました。子どものインスピレーションで、何かいい感じがすると、そこに作り始めるのです。そこは、別天地で、ドキドキするけど、落ち着ける場所なのです。