午前10時から午後4時まで東京大学地震研究所浅間火山観測所で「浅間火山巡検」がありました。
日大で天明3年の噴火を研究しているY准教授が講師です。
早速観測所のすぐ横にある地層を見に行きました。
下の黒いところは、平安時代に噴火した火山堆積物です。
上の白っぽい部分が天明3年(1783年)に噴火したもので、よく見るといくつか層になっています。
軽石が主ですが、下の方に濃い色の層がいくつか見えます。
これは、粒が小さい火山噴出物で、大きさが2mm以下なので、火山灰と呼んでいいようです。
オレンジ色の粒も見えます。
これは、浅間山の地下のマグマが周りの基盤岩を取り込んで噴出してきたものということです。
軽石の粒がだいたい同じ大きさでそろっている理由は、
空高く上がった火山噴出物が偏西風で流されるときに、大きい粒から先に落ちていくことから、火口から4km地点では、この大きさの軽石がたくさん落ちてきたということです。
プリニー式噴火とブルカノ式噴火の違いや二酸化珪素の量と火山の形状などの話を実際の観測経験を交えて話してくださいました。
いっしょに峠の茶屋で昼食をとりました。
観測所の古い玄関です。
「東京帝国大学」と書いてありました。
午後は、浅間山の火口「釜山」では、プリニー式の大噴火とキラウエアのようなマグマのしぶきが上がるような噴火が同時に起こったのではないかという話から始まりました。
前掛山より低い火口がマグマのしぶきによりだんだん高く噴丘ができていきますが、北側がくずれ、鬼押し出し方向へ流れたようです。
火口から噴出したマグマのしぶきが周りに落ちて固まり、その上にまたマグマのしぶきが降り固まって層になっていきます。
しぶきは空気に触れやすいので、酸化しています。
アグルチネートと言うそうです。
実際に鬼押し出しへ行ってみました。
写真の左の窪みが大爆発を起こして、鎌原火砕流となっていったということです。
鬼押し出しの溶岩はめずらしく、アグルチネートが火口の周りからくずれ落ちてきていて、
酸化したものと層になっています。
まだまだ、解明されていないことが多くありますが、天明3年の噴火は、「地層が多く残されていて、表土のすぐ下から平安時代の噴火の黒い層までという分かりやすさがある。」「文献資料が多く残されている。」という点で、解明しやすい噴火と言えそうです。
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